休眠預金を作らないためにできること

公開: 2018/08/24 14:12

2018年1月に「休眠預金等活用法」が施行され、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引がない預金を休眠預金として、10年以上放置された預金口座のお金を社会のために有効活用することになりました。

しかし、没収されるわけではなく、預金保険機構に移管されて民間公益活動に活用されますが、移管後も取引のあった金融機関で引き出し等の対応が行われます。
とはいえ、手続きが面倒になるので、早めに眠っている通帳などがないか確認しておきましょう

これまでは、長期間利用されずに放置された「休眠預金」は、一定期間経過後に金融機関の収益となってきましたが、2018年1月より新たな用途に使われることになります。

戸棚の奥などに眠っている預金通帳などがないかもう一度確認しておきましょう。
忘れたまま放置しておくと、内閣府の事業に活用されることになります。

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「休眠預金等」とは?

金融庁が公開している「休眠預金等活用法Q&A」によると、「休眠預金等」とは「10年以上入出金等の取引がない預金等をいい、2009年1月1日以降に最後の異動があった預金等が原則として対象」になります。
休眠預金等活用法Q&A(PDF)

一説によると、日本国内の銀行・信用金庫に存在する個人預金口座の総数は約9億口座とも言われており、日本の総人口で単純に割ったとしても、1人当たり約7.5もの預金口座を保有していることになります。

また、相続の対象となる預金口座の中には、相続手続きが行われないまま金融機関に長期間放置されているものも少なからず存在しています。

このように長期間取引がない預金は、金融庁によれば、2011~2015年度には、平均1000万口座、金額にして1000億円を超える休眠預金が毎年新たに発生しているそうです。

金融機関は、預金者から請求があれば支払いに応じていますが、それらを差し引いたとしても、平均して毎年600億円を超える金額が金融機関の収益として計上されているのです。

こうした休眠預金を有効活用し、NPOなどを通じて被災地の人々や困っている人々の支援に役立てることはできないかといった議論がされるようになり、2016年12月、休眠預金の有効活用を目的とした「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が成立し、2018年1月に施行されることになりました。

休眠口座に移行で銀行が行う手続きは?

「休眠預金等活用法」施行後の新しい休眠預金は、2019年1月から発生し始めることになります。
しかし、いきなり「預金保険機構に移管」というわけではなく、最初に銀行が「最後の取引から9年が経過し、10年6ヵ月経過するまで」の間に「ウェブサイトでの電子公告」や「郵送による通知状の発送」などの手続きで口座の持ち主に休眠口座になることを通知しなくてはいけません。

ウェブサイトでの電子公告」とは、銀行のWebページに掲載される「お知らせ」のことです。
さらに、残高が1万円以上の場合には、休眠預金に該当する口座があることを個別に預金者に通知状を郵送します。
ただし、1万円に満たない場合には通知状は発送されずに休眠預金になってしまいます。
また、銀行が送った通知状が転居先不明で届かない場合もそのまま休眠預金として処理されます。

ここまでの手続きはすべて銀行が行いますから、預金保険機構から直接連絡されることはありません

休眠口座への移行手続きを装って、詐欺に利用されるケースも考えられるので、休眠口座に関する連絡があった場合には、必ず通帳や公式サイトまたは電話帳に載っている銀行のサポート窓口に確認しましょう。

休眠預金の活用法とは?

休眠預金活用法により、休眠預金はどのように活用されるのでしょうか。

休眠預金活用法では、預け入れや引き出しなどの最終取引があった日から10年を経過した預金を「休眠預金等」と定義し、法施行後に新たに発生する休眠預金を、国や地方公共団体が対応困難な社会的課題の解決に資する活動に活用していくとされています。

具体的には、「子ども及び若者の支援に係る活動」「日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動」「地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動」に限定して活用されることになります。
つまり、民間公益活動に助成金を出したり、貸付をしたりするということですね。

ですから、自分の口座のお金が没収されるわけではなく、請求すれば解約や引き出しも可能です
これまでは、時効期間が経過した場合には銀行の収益にされていたことを考えると、復活できるだけましかもしれません。

休眠預金活用法では、預金者が、金融機関の窓口で休眠預金の支払いを請求すれば、元本と利息に相当する金額の支払いを受けることができると規定されています。
しかし、この手続きは銀行ごとに異なっていて、預金していた銀行の支店に出向いて手続きしなければいけないことが多く、該当の支店が閉鎖などで無くなっている場合は、引き継いだ支店を調べて出向く必要があります。

これまでは、口座のあった銀行の支店まで出向いて、手続きを進めるなど銀行ごとに制度や手続きが違っていて、面倒なことも多くありました。

私が手続したときは、口座を開設した視点が統合で閉鎖され、さらに遠くの支店に出向いたところ、印鑑が違うと言われて、変更手続きをしたうえで印鑑を押してくれと言われるなど結構面倒な手続きになってしまいました。

今後は、預金保険機構に移管されるので、銀行だけの手続きでは済まない場合もあり、手続きに余計な時間を取られるケースも考えられます。
もし、眠っている通帳などを見つけたら、できるだけ早く手続することをお勧めします。

休眠預金の通知が届いたら…

休眠預金の通知が届いたり、見つけた場合は、まず口座を開いた支店に「休眠状態の預金を解約したい」と電話しましょう。
電話を入れておくと、紙ベースの帳票調査を事前に済ませておいてくれるはずなので、待ち時間を短くできるかもしれません。
その時に手続きに必要な持ち物も確認しておきましょう

支店が統廃合されて口座を開設した支店が無くなっている場合や、銀行が合併されている場合は、通帳や公式サイトまたは電話帳に記載されている銀行のコールセンターへ電話をかけてみましょう。

転居などで口座を開設した支店が遠くにある場合も銀行のコールセンターに聞いてみると柔軟な対応をしてくれるかもしれません。

また、地方銀行など住所近くに支店などもない場合は、他の銀行で「取立 (代金取立)」という手続きで解約をできる場合があります
解約書類を口座のある銀行から郵送などで取り寄せ、解約したい口座の通帳やキャッシュカード・届印などを近くの銀行窓口に持参すれば、代金取立手数料を支払って解約手続きができます。
送金手数料を取られるかもしれませんが、口座の残金を手続きした銀行経由で返金してもらうこともできます。
銀行によって必要な書類は異なるので、電話やホームページで事前に確認しましょう。

休眠預金は適切に運用されるのか?

休眠していると言っても、元は国民の財産ですから、不正に活用されていないかなど、使途をきちんと把握することが重要です。

実際に休眠預金の活用が開始されるのは2019年秋ごろになると思われますが、十分な情報公開がされるように期待します。

これを機会に預金口座の整理をしてみるのもいいかもしれませんね。
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