本当は利用者の負担するコストが結構大きいスマホ決済

公開: 2018/12/31 21:34

消費税の増税に絡んで、キャッシュバックなどにキャッシュレス決済を利用するというキャッシュレス決済が脚光を浴びるようになってきました。
従来のクレジットカードやデビットカード、SUICAをはじめとする電子マネーに加えて、設備投資の比較的少なくて済むバーコード決裁などのスマホ決済も銀行系、流通系を問わずリリースされ始めています。

乱立してきていることでかえって使いにくい印象が出てきたスマホ決済ですが、実は利用者の負担するコストが結構大きいものだということはご存知ですか?

基本的に現金決済もクレジットカードなどその他の決済方法も基本的には個人の銀行口座から事業者の銀行口座に資金を移動するという点では変わりません。

個人が口座から引き出した現金を事業者に支払い、事業者が銀行口座に入金する。
個人の銀行口座から事業者の銀行口座に口座振替で支払う。
クレジットカードなどで決済して後で個人の銀行口座からカード会社を経由して事業者の銀行口座に入金する。
個人の銀行口座からSUICAなどの電子マネーに入金して事業者に支払い、事業者が銀行口座に入金する。

などのパターンが考えられますが、支払いの経路は違っても、銀行を一切使わないという人以外はほぼ同じではないでしょうか?

お金の流れ

ちなみに、現金を直接使わない口座振替などを含めた広義のキャッシュレス決済は、現状でも50%以上を占めています。
キャッシュレス決済に関する指標 - 金融庁

cashless.jpg

テクノロジーの観点では、電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス決済は圧倒的にスマートです。
現金を手元に用意する手間がなく、支払いがスピーディで、決済額のデータを蓄積し、家計の分析にも活用できます。

ただ、これを自らの生活に取り込み、使いこなしていくには、便利さだけに飛びつく前に十分な理解が欠かせません。
その点で言えば、現金派にとどまる人が多いのも現状では十分に納得がいくものでしょう。


そのなかでスマホ決済は、まだ実績に乏しく、かなりの大手でもアプリのセキュリティなどの問題が解消しきれていないことや決済の安全性についても問題が出ています。
先行している中国などでは、セキュリティの抜け道を利用した詐欺行為なども増えてきており、利用者が損失を被ることもあります。

さらに、電話線やネットなどの有線通信を利用するクレジットカードやデビットカード、電子マネーは技術的に比較的安定していますが、携帯電話を利用するスマホ決済はひとたび通信障害が起こるとその影響をもろに受けることになります。

決済自体でも利用者にコストが発生する

クレジットカードなどの従来の決済手段は、年会費などのコストはほとんど必要なくなってきており、決済の際に発生する通信や設備の費用は支払いを受ける店舗などの事業者が負担することになります。
しかしスマホ決済では、支払いを受ける側のコストだけでなく、支払う側も通信費やデバイス購入費などのコストを負うことになります。

また、パケットの費用などは微々たるものかもしれませんが、回線を維持するための費用が掛かるうえに、スマホが故障した場合などは修理が完了するまで決済できなくなるといったリスクがあります。

乱立による重複するコスト

スマホ決済は、ApplePay や GooglePayなどのスマホのOSに依存する決済手段のほかに、通信キャリア系によるd払い、auPay、PayPayやコンビニ各社が提供するファミペイやローソンスマホペイ、さらにIT企業系が提供する楽天ペイやLINE Payなど乱立状態になってきており、今後は銀行系の統一規格も発表されます。

おそらく、各社とも利用者の購入履歴などの個人情報取得を目的としており、互換性などは期待できません。
利便性を考えると、よく使うものに統一するか、複数のサービスを利用することになります。

スマホ決済各社

デバイス系 Apple Pay iPhoneやApple Watchで使える決済機能。
クレジットカードの情報を入力する決済システムです。
Google Pay グーグルが提供する各種の支払いサービスをまとめたアプリです。
日本では、おサイフケータイ対応のスマートフォンで支払い機能が利用できます。
携帯キャリア系 d払い NTTドコモが2018年4月に開始したスマホ決済サービス。
支払いにクレジットカードのほか、ドコモの携帯料金との合算請求も利用でき、dポイント払いにも対応しています。
au PAY KDDIが2019年春に提供開始予定のスマホ決済サービス。
プリペイドカード「au WALLET」の残高を使える。
PayPay ソフトバンクグループの決済サービス。
ソフトバンクとYahoo! JAPANの決済機能を統合し、2018年10月にサービスを開始。
IT企業系 LINE Pay LINEアプリから使える支払いサービス。
バーコード決済のほかJCBプリペイドカードやQUICPayとしても使える
楽天ペイ 楽天に登録したカードから支払える決済サービス。楽天ポイントが貯まるほか、楽天の幅広いサービスと連携している。
Amazon Pay Amazonアプリのバーコード決済機能。日本が初の導入国。
Origami Pay Origamiが展開するスマホ決済。バーコード決済は2015年から展開。
pixiv PAY イラスト投稿サイト「pixiv」が提供する決済アプリ。ローソンやファミリーマートなどでも使え、同人誌即売会で使えるレジ機能を提供。
メルペイ 「メルカリ」が提供準備中の決済アプリ。
コンビニ系 ローソンスマホペイ ローソンが一部店舗で試験展開しているスマホ決済サービス。
レジに並ぶことなく会計できます。
ファミペイ ファミリーマートが2019年7月予定で準備中のスマホ決済サービス。
7Pay セブン-イレブンが準備中のスマホ決済。2019年サービス開始予定。
銀行系 pring IT企業のメタップスとみずほフィナンシャルグループが提携して開発したウォレットアプリ。
店舗での決済のほか、個人間送金にも使えます。
&Pay IT企業エムティーアイが展開する決済システム。
銀行口座から直接引き落とせるスマホ決済サービスです。
銀行Pay GMOペイメントゲートウェイが提供するバーコード決済システム。
支払いは口座引き落としで、デビットカードのような感覚で使えます。


この中で、銀行系は銀行口座から直接決済できるものになりそうですが、それ以外は事前入金が必要なプリペイド式かクレジットカードを紐づける形式か、双方を併用する形式になります。

PayPayは併用する形式ですが、入金分が不足する場合でも残りをクレジットカードから支払うといったことができません。
全額決済できる形式が選べると考えれば便利なようですが、柔軟な支払い方ができないので結構ストレスになることもあります。

クレジットカードと紐づけて決済できるものであれば決済時にクレジットカードに請求が回るだけですが、事前に入金が必要なサービスでは金利のつかない資金を保持する必要があります。
そもそもクレジットカードと紐づけるくらいなら、そのままクレジットカードを利用できる場合がほとんどではないでしょうか?

スタイリッシュな支払いができるかもしれませんが、無駄なコストや個人情報の提供に見合うかどうかは疑問ですね。
現金決済からキャッシュレス決済への移行は進むかもしれませんが、スマホ決済が主流になるかどうかは行政の促進政策などが必要ではないでしょうか?

SUICAなどのタッチ決済もクレジットカードに侵食されるかも?

JR東日本は、SUICAの国際的な普及を目指しているようですが、世界的にはクレジットカードのタッチ決済が先行しつつあります。

英国では、地下鉄の自動改札でクレジットカードが利用できるようになっています。
また、ニューヨーク地下鉄も、クレジットカードのタッチ決済を導入する予定になっています。

今でも海外のコンビニやスーパーなどでは、自分でレジ端末のスリットにカードを通して決済しますが、今後はカードを店員に渡すことなく、端末でタッチして暗証番号を押すだけといった方式が主流になっていくようです。
カードが手元を離れないので、カードの不正利用のリスクを抑えられるようになるということが期待できます。

現在、日本で利用されているクレジットカードは、ほとんどがタッチ決済機能を持っていませんが、ネット銀行の発行するVISAタッチなどのクレジットブランド系デビットカードではタッチ機能をサポートするものも出てきています。
Visaのタッチ決済

VISAデビットやJCBデビットは、クレジットカードが使えるお店なら基本的には同じように利用できるうえに、銀行口座にあるお金がそのまま使えるので、SUICAなどのような入金などの手間がかかりません。
また、クレジットカードにつきものの審査がなく、15歳以上なら口座を持つだけで発行できるので、クレジットカードの審査が通らない場合でも持つことができます。
また、銀行口座の残額までしか利用できないので、返済不可能なほどの使い過ぎといった問題も起きません。

将来的には自動改札などもクレジットカードで通過できるようになるかもしれません。

楽天銀行デビットカード