医療費控除で節税するには?
確定申告をするメリットの一つに「医療費控除」があります。
これは、1年間の医療費が10万円を超えた場合に超えた分を所得額から控除できるという制度です。
お子さんや高齢者のいるご家庭では、10万円を超える場合もありますし、医療費だけではなく病院への交通費薬局で購入した一般薬の費用も含めることができるので、一度確認してみることをお勧めします。
年間の医療費が10万円以下の場合でも、所得が200万円以下の場合は、総所得金額の5%を超えていれば申告出来ます。
また、2017年度から2021年度までは、セルフメディケーション税制が実施されるので、対象の市販薬を購入している場合には1万2千円を超える額を控除の対象にすることができます。
セルフメディケーション税制は、2022年以降も制度が延長されています。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。
2018年1月22日現在、鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬など83成分、1676品目がセルフメディケーション税制の対象となっています。
対象商品のパッケージには「セルフメディケーション税控除対象」といった識別マークが付けられており、対象商品には「★」「◆」などの印が購入時にもらったレシートの項目についているので、1年間の合計が1万2000円を超えれば、最大 8万8000円まで申告して控除を受けられます。
いずれにしても、確定申告で申告しないと控除を受けることができません。
リタイアやセミリタイア、クラウドワーキングなどの個人事業者は、確定申告が必須ですから、医療費控除のハードルはさらに低くなっています。
また、サラリーマンでも年末調整だけでは得られない控除がありますから、確定申告を行うメリットを確認しておきましょう。
離れて暮らす親族を扶養に加えることもできます
同居の両親だけではなく、離れて暮らす親族を扶養に加えることができるのはご存知ですか?
一人暮らしでも、両親に仕送りをしている場合には、自分の健康保険の扶養者として両親の健康保険料の負担を抑えたり、その医療費を医療費控除の対象として申告できる場合があります。
【親族の範囲】
扶養家族として認められているのは、同居している三親等以内の親族。ただし、配偶者や子ども、父母など一部の親族は、被保険者から仕送りなどを受けていれば、同居していなくても扶養に入れることができる。具体的には次のように分かれている。
○同居していなくても認められる親族
- 父母、祖父母、曾祖父母
- 妻、夫(配偶者。双方に戸籍上の配偶者がいない場合は内縁関係でもよい)
- 子、孫、弟妹
○同居を条件に認められる親族
- 自分の曾孫、兄姉、甥姪、伯父伯母。これらの配偶者
- 配偶者の子、孫、曾孫、父母、祖父母、曾祖父母、兄弟姉妹、甥姪、伯父伯母
【年収】
扶養される人の年収は、原則的に60歳未満が130万円未満、60歳以上と障がい者は180万円未満が条件です。の有無によって次のように定められています。
○同居している場合
60歳未満は130万円未満、60歳以上と障がい者は180万円未満で、かつ保険料を払っている被保険者の年収の2分の1未満であること。ただし、2分の1以上でも、世帯全体の収入が少ない場合、被保険者の年収を超えなければ扶養家族として認められることもある。
○同居していない場合
60歳未満は130万円未満、60歳以上と障がい者は180万円未満で、その金額が被保険者からの仕送り額よりも少ないこと。
つまり、年収が一定額以内なら、同居していなくても親を扶養に含めることができ、定期的に仕送りをしていたり、親が介護施設に入居していてその費用を負担している場合などは扶養家族にできる可能性が高くなるのです。
扶養が認められれば、保険料の負担なしで親は健康保険に加入できるうえに、医療費が高額になった場合に払い戻しを受けられる高額療養費の世帯合算もでき、負担を抑えられる場合があります。
高齢になると持病を抱えて継続的に病院やクリニックに通う人も多くなります。
両親を扶養に入れられれば少しでも親の負担を軽くでき、節税も可能になります。
医療費情報サービスの利用 (協会けんぽ)
医療費控除を受けるには、支払った医療費を領収証から一つ一つ入力して行く方法と健康保険から送られてくる「医療費のお知らせ」を利用する方法があります。
そして、「医療費のお知らせ」を利用する方法には、医療費の合計額を入力して書面で送られてくる「医療費のお知らせ」の元本を提出する方法と健康保険の「情報提供サービス」の「医療費照会」からダウンロードした医療費データをアップロードする方法があります。
医療費データを断ロードする方法を、協会けんぽの「情報提供サービス」を例に解説します。
全国健康保険協会「情報提供サービスの概要」
全国健康保険協会「情報提供サービス」トップ画面
「利用申請(被保険者)」のアイコンをクリックして、利用申請入力画面でユーザIDを申請します。
健康保険証を手元に用意しておきましょう。
健康保険の記号・番号等、必要事項を記入します。
「お客様設定パスワード」は、忘れないように控えておきましょう。
メールアドレスと電話番号は任意です。
内容を確認して送信すると、約1週間程度で、協会けんぽよりユーザーIDとパスワードが郵送で送付されます。
全国健康保険協会「情報提供サービス」利用者ログイン入力画面で、ユーザID、協会発行パスワード、お客様設定パスワードの3つを入力してログインします。
情報提供サービスでは、ユーザID取得申請をした月以降の請求年月および過去最長2年の医療費情報について照会が可能です。
2年を経過した情報は古いものから順に削除され、新しい記録が追加されていきます。
医療費情報の更新は、毎月一回 21日頃に行われます。
確定申告書の作成時にダウンロードしたデータを利用して、医療費控除の申請データが入力できます。
ただし、医療費控除の範囲は、健康保険利用分の他に、購入した医薬品や病院への交通費も含まれるので、これらは別途入力するのを忘れないようにしましょう。
「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成する手順は?