心を鎮めるための5つの方法

公開: 2018/06/24 18:51

誰でも、納得できないことに直面して怒りや不安の感情に襲われてしまうことはあります。
また、緊張したときに、普段は取らないような行動をしたり、逆に行動できなくなった経験があるかもしれません。

そして、そういったネガティブな感情に支配されたまま行動を起こしてしまうと、良くない結果を招いてしまうことも少なくありません。
そこで、思わず感情が高ぶった時に冷静さを取り戻すために役立ちそうな5つの方法を、心理的・身体的な側面に基づいてまとめてみましょう。

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1.水に顔を浸ける
頭に血が上ってカッとなったときには「頭を冷やしてこい」などというものですが、実際に顔を水につけることは怒りを静める効果があります。

これは、冷たい水の中に落ちたり、呼吸が困難になった時に、体が本能的に自分を保護しようとする潜水反応という生体反応に基づいたものです。
名称に「潜水」と付きますが、別に潜水を行わなくても単に呼吸を止めれば、人間の体は本能的に血管を収縮させ、心拍の回数を減らすことで体が消費するエネルギーを減らそうとします。
この時、怒りのようなネガティブな感情も抑制される方向に働くようです。

潜水反応は、呼吸を止めるだけでも生じるので、目を閉じて少しの間息を止めてみるのも有効かもしれません。

2.体を冷やすことで「冷静」になる
これは上の方法に近いものですが、体の一部を冷やすことで感情を静めることができます。
もし、冷蔵庫に氷が入っているなら、両手いっぱいに氷をすくったり、ボウルに氷水を作って、手を差し込みます。
手が急激に冷やされることで痛みに近い苦痛を感じますが、しばらくその状態をキープします。
我慢ができなくなったら、氷を捨てたり、手を引いて、冷たさから手を解放します。
この時に気持ちは、苦痛から解放されたこと以上の幸福感を得られます。

これは「痛みで相殺される緩和 (Pain offset relief)」と呼ばれるもので、実は苦しみから逃れるために自分の体を傷つける「自傷行為」の根底にもある作用です。
自傷行為は避けたほうが良いのは自明のことですが、手を氷で冷やす程度であれば霜焼けになる程度で済みます。

3.風船を膨らませるように、ゆっくり大きく呼吸する
実際に風船を膨らませるわけではなく、「ゆっくりと大きく呼吸をする」ということです。
簡単にいうと、腹式深呼吸ですね。
これは「呼吸性洞性不整脈(RSA)」という副交感神経機能に関連するもので、人間の呼吸と心拍の間には一定のつながりがあって、呼吸をゆっくりすると心拍もゆっくりになるのです。

呼吸と心臓の鼓動がゆっくりなのに、怒りを維持できる人はほとんどいません。
つまり、感情が高ぶると心拍が速くなるので、心拍を下げることで感情を静めようとする方法です。
「カチン」と来たときは、椅子に座ったまま深呼吸を繰り返すだけで怒りの感情を静めることができるはずです。

4.感情と正反対の行動をとる
怒りや不安など、自分が「不適切だ」と考える感情に襲われたときは、その反対の行動をとることで心のバランスをとることが有効です。

怒りを感じたときは、自分の後から入ってくる人のためにドアを押さえてあげましょう。
また、他人の成功にねたみを感じた時は、これまで自分の身に起こった良かった出来事や成功を振り返ると良いでしょう。

これは、弁証法的行動療法の「行動の受容と行動化の強調」という技法の応用で「受容」を通じてこころのバランスを整えるというものです。

5.自分の感情に寄り添う
これは、強い感情をコントロールするためのものではなく、それを容認することを助けるものです。
マインドフルネスを理解して実践することで、自分の感情に気付き、衝動的な反動を排除して、理性的に気持ちに対処することができるようになります。

ネガティブな強い感情は、突然生じるのではなく、段階を踏んで表面化します。
最初に基礎が築かれ、徐々に高さを増し、ついに限界に達して崩壊してしまうのです。

このような問題に直面した時は、何かで気を紛らわせるのではなく、その感情を受け入れ、分析することが大切です。
これは簡単ではなく、訓練が必要になりますが、問題に正しく対処する最も効果のある方法でしょう。

ネガティブな感情は、「自分が描いている理想と現実のギャップを受け入れることができない」ということも一因になると言われます。
しかし、理想の通りに物事が進むことは少ないものなので、そのギャップを受け入れ、気持ちを整理することで、ネガティブな感情の多くに対処できるでしょう。

それでも感情が落ち着かず、自分や他の誰か・何かを傷つけてしまいそうになるときは、ためらうことなくカウンセリングなどの助けを求めるべきです。

誰かに「肯定的に話を聞いてもらう」のは、感情を制御する最も効果的な方法です。