自動車で天候トラブルに遭遇した時には?
ロードサービスは、雪道でのトラブルもサポートされていますか?
自動車を運転する場合、任意保険の加入は必須になっています。
そして、任意保険のほとんどには、運転中のトラブルをサポートするためのロードサービスなどの付帯サービスが装備されています。
しかし、任意保険に付帯のロードサービスは、その利用条件に制限があることがほとんどです。
念のためにあなたの加入している任意保険のロードサービス利用規約を確認して見てください。
次のような制限がありませんか?
<ロードサービス 利用規約抜粋> 「走行中に、降雪を原因とし走行不能となった場合」 以下の要件をすべて満たす場合に限り、自力走行可能な場所への引き出しを実施 (a) トラブル現場が、ご自宅の駐車場などの通常保管場所ではない (b) 雪対応タイヤ、またはチェーンを装着している (c) お客様自身で一定の除雪作業を行ったにも関わらず、トラブルが解決しない なお、チェーンの脱着・タイヤの履き替え(パンク時以外)や除雪費用は、サービス対象外
どういうことかというと、任意保険のロードサービスでは、自助努力を尽くしていないとサービスが受けられないというわけです。
また、任意保険に付随のサービスですから、あなたにではなく、保険に加入した自動車に対してのサービスになります。
ですから、レンタカーや社有車を利用している場合には、その車に付属している任意保険の内容によって、ロードサービスが受けられない場合もあります。
しかも、保険会社によって規約が違いますから、思ったようなサービスが受けられないといったことがよくあります。
その点、日本自動車連盟(JAF)のロードサービスは、個人単位での加入になりますから、レンタカーやレンタルバイクでのトラブルにも対処できます。
また、日本国内であれば、サービス車両が入れないような状況を除いてほとんどのトラブルに対処でき、回数制限もありません。
といっても、出動依頼が多い積雪時には、時間がかかることも多いので、雪道を走る場合には、事前の準備はできる限りしておいた方が良いでしょう。
レンタカーやカーシェアを利用する方が安全な場合も
どうしても自分の車でないとダメだという場合でなければ、レンタカーやカーシェアを利用する方が安全な場合もあります。
豪雪地方のレンタカーは、雪道用の装備がしっかりしているので、かえって安心です。
ですから、目的地近くまで公共交通機関で移動して、レンタカーやカーシェアを利用する方が良いということもあるのです。
移動手段の選択は、目的に応じて、臨機応変に対応しましょう。
docomoが提供している「dカーシェア」は初期費用・月額利用料無料で、カーシェアだけでなく、レンタカーも利用できるので、登録しておくだけなら費用はかかりません。
臨機応変な利用ができるのでオススメです。
雪道の運転ではどんなことに注意すればよいのですか?
雪道でとくに注意したいのが、スリップによるトラブルです。
万全の準備をしていても、運転方法が正しくないと、トラブルを起こすことになりかねません。予想以上に路面が滑ることを念頭に置き、安全な速度で走行する必要があります。
たとえば、急な車線変更でステアリング操作を行うと、スリップしてコントロールできなくなる場合があります。
ブレーキも慎重かつ、手前からの操作が必要です。乾燥路面と同じ感覚でいたのでは、事故のもとです。
先行車との車間距離も多めにとるようにします。
もちろん、急ブレーキは厳禁です。
クルマが左右に振られ、場合によってはスピンを起こすこともあります。
下り坂では、ブレーキ操作はとくに注意する必要があります。
坂の手前でしっかりと減速し、フットブレーキを基本として、エンジンブレーキも使って、速度をコントロールするようにしましょう。
発進時にも注意が必要です。
アクセルペダルを不用意に踏み込むと、タイヤが空転して発進できないことがあります。
アクセルは、じわりと踏み込み、ゆっくりとした発進を意識します。
上り坂では、平坦路以上にタイヤが空転しやすくなっています。
発進時と同じように、じわりとアクセルを踏み、坂の途中では、できる限り止まらないようにします。
タイヤチェーンは、路面に雪があったら早めに装着することが大切です。
まだ大丈夫、と思っているうちに、スリップを起こしたのでは、チェーンを用意した意味がありません。
雪道では、どんなことでも早めに用意し、急発進、急ハンドル、急制動などの急のつく操作は絶対に行わないことが重要なのです。
雪道でスタックした場合、自力で動かす方法とは?
スタックとひと口にいっても、さまざまな状況が考えられます。
タイヤが段差に嵌まってスリップしてしまったり、新雪にはまった場合には、ゆっくりとクルマを前後に動かして、タイヤで周辺の雪を押しかためて均していくようにします。
スコップが手元にあれば、周辺の雪を取り除いたり、押しかためるのも一つの手段です。
無理に加速して押し通るのは絶対にやめましょう。
大抵の場合、やり過ぎて、より困難な状態に陥ります。
どうしても脱出できない場合は、緊急脱出用のスノーヘルパー(樹脂製の板)、フロアマットや布、チェーンなどをスタックしているタイヤの接地部分の奥まで差し込み、ゆっくりと発進してみます。
また、タイヤと雪の間に何かをかませる場合は、アクセルペダルを踏み込んだ時に、かませた物が勢いよく後方に飛び出す可能性がありますので注意しましょう。
駆動輪よりに何人かで体重をかけて、駆動輪の荷重を高めるのも有効な手段です。
その場合は、急に動き出した時に車体にぶつからないよう、進行方向に入らないことが大切です。
豪雪地方では、道路脇に砂箱が用意されていることがあります。
この砂を駆動輪の外周に振りかけることで、グリップ力が増加します。
さらにタイヤの空気圧を下げ、タイヤの接地面積を増やすのも効果的です。
ただし、脱出後は空気圧を適正に戻してください。
近くに人がいる状況であれば、救援を求め、クルマを押してもらいます。
周辺のドライバーと協力することで、みんなが助かることも多いので、積極的に助け合いましょう。
また、スリップではなく、雪の塊に乗り上げてしまい、動けなくなる場合もあります。
この場合も、最初はゆっくりと前後に動き、雪を均すようにして脱出しましょう。
タイヤが浮いてしまっているようなときは、スコップで雪をかき出して、タイヤを接地させます。
どうしても動けない場合は、自力での脱出を諦め、他のクルマにけん引してもらう手段を考えるしかありません。
まわりに人がいない場合は、JAF(#8139)などのロードサービスへ救援を求めるのが脱出への一番の近道です。
豪雪で身動きが取れなくなったときの対応は?
降雪地域では、突然の豪雪に見舞われ身動きが取れなくなり、車内に閉じこめられることがあります。
気象情報で暴風雪が予想されるときは、クルマでの外出はできるだけ避けるのが賢明です。
万一に備えて、車内には防寒着、長靴、手袋、スコップ、牽引ロープなどを常備しましょう。
飲料水や非常食があれば、より安心です。
さらに、十分に燃料があることも確認してから出掛けましょう。
低速走行は、燃料の消費が増えることもありますし、燃料不足でエンジン停止すると、救援が来るまで不自由な状態での安全確保も必要になります。
走行が危険な状況になると、通行止めになることもあるので、最寄りのガソリンスタンドや道の駅、コンビニエンスストアなど安全な場所にクルマを止め、天候の回復を待つ決断も必要になります。
携帯電話は、地域によって電波の届かない場合もあるため、過信してはいけません。
とくに注意したいのは、ホワイトアウトと呼ばれる、地表に積もった雪が強風で巻き上げられて地吹雪が発生し、視界が極端に悪化した状態です。
フロントウインドウのすぐ先も見えなくなり、方向感覚が麻痺しますので、ハザードランプを点灯するなど、できるだけクルマが目立つ状態にして停車しましょう。
アウトドアに慣れている人でも、視界が不十分な状態で、移動するのは非常に危険です。
走行ができないほど視界が失われていると判断したら、その場から移動するのは避けましょう。
視界が確保され見通しが良くなっても、吹き溜まりなどで道路の境がわからなくなる可能性があります。
転落などの危険を避け、十分に注意して安全な場所に移動してください。
救援を依頼する時に注意することは?
もし身動きが取れなくなったら、直ちに道路緊急ダイヤル(#9910)や、JAF(#8139)に救援を求めましょう。状況によっては警察へ通報してください。
吹雪のなかで停車すると、ものの数分でクルマ全体が雪で覆われていきます。
いつでも脱出できるよう、風下側のドアが開くかどうか定期的に確認しながら救援を待ちましょう。
また、マフラーの排気口が雪でふさがれると排気ガスが室内に流入し、一酸化炭素中毒の危険が高まります。
クルマには、排気ガス浄化装置がありますが、排気ガス浄化装置の触媒は内部温度が一定以上に上昇しないと機能しないため、外気温が低い状態では機能しない場合があります。
一酸化炭素は無臭で気付きにくく、生命に関わりますので、マフラーの周辺だけでも除雪しましょう。
もし、車体が雪に埋まってしまったら?
救援を待つ間に完全に雪に覆われてしまったら、エンジンを停止します。
雪に覆われてしまうと外気から遮断されるため、案外温度は低下しないものです。
こうした場合に備えて、保温のために毛布や使い捨てカイロなどを常備しておくと低体温症を防げる可能性が高まります。
寒いからといって、エンジンをかけたまま、完全に閉じこもってしますのは危険です。
周囲が雪で覆われてしますと、エンジンからの排気ガスの逃げ道がなくなり、車体の下に充満して、車内に流入する危険があるので、必ずエンジンは停止しておきましょう。
そして、新鮮な空気を確保するために、時々風下側のウインドウをわずかに開けて、換気を心がけながら救援を待ちましょう。
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雪道を走る前に準備しておきたいものとは?
雪道でのトラブルを防ぐには、クルマの点検も含めた事前の準備が大切です。
たとえスタッドレスタイヤを装着していたとしても、タイヤチェーンとジャッキは必須です。
また、スタック(立ち往生)したときのために、けん引ロープも積んでおくと心強いでしょう。スコップも駐車場に積もった雪を除去するのに役立ちますし、スリップして動けなくなったときの除雪作業に便利です。
さらに冬場はワイパーやヒーターなどの連続稼働などによって、バッテリーの消耗が激しくなりがちですので、不測の事態に備え、ブースターケーブルやジャンプスターターも用意しておくと安心です。
そのほかに、チェーンの着脱時など、外で作業するときのために、軍手や長靴、懐中電灯もクルマに積んでおくと重宝します。
また、駐車場に一晩クルマを駐車するとガラス面に付着した水分が凍結したり霜が降りたりすることがあるので、取り除くためのアイス・スクレーパー(霜取り用のヘラ)や解氷剤も用意しておくと便利です。
意外に役立つのが毛布です。
車内での防寒具としてだけではなく、雪道でスリップして動けなくなったときに、タイヤと雪の間に挟めば、脱出することができます。
慣れない雪道では、どんなトラブルに見舞われるかわかりません。
タイヤチェーンの他にも、万一に備えたグッズを積んでおきましょう。
雪道でのトラブルを防ぐためには、クルマの点検などを含めた事前の準備が安心に繋がります。
- タイヤチェーン
- 軍手・レインシューズ
- けん引ロープ
- スコップ
- ブースターケーブル・ジャンプスターター
- 解氷剤
- 懐中電灯 etc.
スタッドレスタイヤを装着するときの注意点とは?
すべての車輪に装着しなければならない理由は?
スタッドレスタイヤは、すべての車輪に装着することではじめて安定した走行ができるように設計されています。
駆動輪のみにスタッドレスタイヤを装着して走行すると、ノーマルタイヤとの摩擦力に差が生じてしまうため、車体が安定せず、コントロールができなくなる可能性があります。
スタッドレスタイヤは、必ずすべての車輪に装着しましょう。
走行時に注意すべき点は?
スタッドレスタイヤを装着していても、雪上路や氷上路では過信せず、急な運転操作(急発進、急ブレーキ、急ハンドル)はやめましょう。
スタッドレスタイヤはグリップの感覚がノーマルタイヤよりも安定しているので、滑りやすい路面を走行していることを忘れがちです。
カーブの手前では、安全に曲がれる速度まで減速し、慎重に運転してください。
またスタッドレスタイヤは、雨に濡れた路面では、ノーマルタイヤよりもグリップ力が落ちるという特性があることも理解しておきましょう。
スタッドレスタイヤの寿命は?
スタッドレスタイヤとしての使用限界は、溝の深さが新品時の50%までとされています。
50%と言われただけでは判断がつきにくいのですが、タイヤのトレッド面(路面に直接接地する部分)に設けられた「プラットフォーム」で判別できます。
このプラットフォームの部分で溝が埋まった時点が、50%摩耗した状態で、タイヤの側面上にある4ヵ所の「↑」の先にあります。
知っておくべき雪道の危険ポイントは?
降雪時の路面は、雪の量や走行する時間帯などによって刻々と変化します。
雪道で運転する際には、クルマの滑りやすいポイントを事前に知っておくことも重要です。
もっとも危険なのが、風通しのよい橋の上や陸橋、そしてトンネルの出入り口付近です。
さらに山間部では、日陰になるカーブにも注意が必要になります。
他の場所よりも路面温度が下がりやすいため、凍結しやすく、車の挙動が突然変化してコントロールができなくなることがあります。
そのような場所では、手前で十分にスピードを落とし、慎重に走行してください。
また、多くのクルマが停止・発進を繰り返す交差点も危険な場所になります。
圧雪路面がタイヤに磨かれて、アイスバーンになっていることがありますので、交差点では早めのブレーキ操作を心がけましょう。
雪が積もったばかりの道路も危険です。
とくに走り慣れていない道では、積もった雪のせいで、どこまでが道なのか分からなくなってしまうこともあります。
積雪の多い地方では、道路との境界に、矢印や反射板のポールを設置しているところが多いので、それを目印に走行します。
気温の下がる朝晩や夜は、昼間以上に危険です。
昼間は濡れているだけの路面も、夜には凍結路面となっていることもありますので、充分注意しましょう。
四輪駆動(4WD)なら雪道も安心?
4WDは、4輪全てに駆動力が分散されるので、雪道で進行方向に進むには一番適しています。
しかし、原則や停止時にはこれらが弱点として浮上してきます。
4WDは、コントロールできている状態でなら進行方向に進みやすい性質がありますが、逆に言えば、意図しない方向に進み始めた場合には、コントロールを失ってしまっても、そのまま進み続けようとします。
また、ブレーキやタイヤの性能はFRやFFの2WDと大きく変わらないので、停止しようとしても簡単ではありません。
4WD専用タイヤは、不整地での性能を考慮していますが、雪道での画期的な性能があるわけではありません。
4WD用のスタッッドレスタイヤがあるのはこのためです。
4WDは、FRやFFの2WDと比べて車重が重い傾向がありますから、停止や旋回はさらに困難になります。
雪国に軽4WDの「Jimnny」がよく見られるのは、そんな理由があるのかもしれません。
4WDだからといって過信せず、2WD以上に細心の注意を払って運転する必要があるのです。